競争力を向上させる組織とマネジメントの在り方②

前回は、結果を生む構造をお話させて頂きました。
今回は、モチベーションとの向き合い方についてお話させて頂きます。

3.モチベーションとの向き合い方
 モチベーションは、動機づけや物事を行うための動機や意欲になるものとして定義されています。要は、行動するための心理的な原動力や頑張れる理由というものです。
 自立的に物事を進める人材を望む場合、モチベーションは無視できませんが、このモチベーションは古くて新しい永遠の課題として現在も残っています。
 そのためか、世の中にはモチベーションに関する理論が数多くあります。有名なところでは、マズローの欲求段階説(図3)。人間の欲求は5階層に構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するというものです。日々の生活が安定していないのに、高次の欲求を求めることは酷になります。

 また、マクレガーのX理論・Y理論。人間の本質を、X理論、Y理論の2種類に分けたもので、X理論では、人間は本来なまけたがる生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなり、「アメとムチ」が有効とされています。Y理論では、人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をし、「機会を与える」が有効とされています。
 それと、ハーズバーグの動機づけ衛生理論(図4)。仕事における満足と不満足を引き起こす要因は、「動機づけ要因」と「衛生要因」の2つに分けられ、「動機づけ要因」とは、仕事に対する満足感を引き起こすが、できなくても不満足にはなりにくいもので、達成、承認、仕事そのもの等が要因として挙げられています。一方、「衛生要因」とは、仕事に対する不満を引き起こすが、なくなっても、満足するとは限らないものとされ、会社の方針と管理、人間関係、労働条件等が要因として挙げられています。

 他にも、「内発的に動機づけられた行為に対して、 報酬を与えるなど外発的動機づけを行うことによって、内発的動機づけが低減する現象(アンダーマイニング効果)」や「人間は期待された通りの成果を出す傾向がある、期待に人は応えようとする(ピグマリオン効果)」、「期待されないと能力は下がる(ゴーレム効果)」というものがあります。
 いずれの理論においても、ある一面においては適用されそうだ、とか、どちらか一方とは言い切れないという状態であるのに、一つの理論だけを当てはめようとすることがモチベーション問題をより難しくしているところではないでしょうか。
 筆者は、モチベーション向上には、様々な理由があり、同一人物でも常に原動力が変わっていくことを前提として、前述のような理論を組み合わせて対応することを薦めています。また、次の「自己効力感」という考え方もモチベーション問題に対応する方法として推奨しています。
 「自己効力感」とは、人が何らかの課題に直面した際、こうすればうまくいくはずだという期待(結果期待)に対して、自分はそれが実行できるという期待(効力期待)や自信のことです。ここでは、根拠のない自信で構いませんが、下記のような状態にすることが重要となります。

 この「自己効力感」を高める方法として、達成体験(実際に行動して、成功体験を持つ)、代理経験(他人の達成行動を観察すること。あの人ができるなら私もできる!)、言語的説得(自己強化や他者からの説得的な暗示)、生理的情緒的高揚(お酒を飲むと気分が良くなる等何らかの生理的な反応で高揚すること)の4つがあります。
 改善活動でよく言われるのは、「まず、小さな成功を体験すること」です。心理的障害の小さいところから始めることで、簡単に行動でき、自信を高められ、それが次のモチベーションにつながるという流れです。

 このようなことを踏まえて、目指す組織とマネジメントの在り方を整理してみましょう。
 次回(最終回)は、目指す組織とマネジメントの在り方についてお話させて頂きます。

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