競争力を向上させる組織とマネジメントの在り方③

前回は、モチベーションとの向き合い方についてお話させて頂きました。
今回(最終回)は、目指す組織とマネジメントの在り方や良い循環についてお話させて頂き、締めくくりとさせて頂きます。

4.目指す組織とマネジメントの在り方
 「良い結果」につながるのは「適切な行動」であり、「前向きな意欲」「必要なスキル」「自立性を損なわない組織支援」により「適切な行動」をするための条件が満たされている状態だと考えています。
「前向きな意欲」とは、行動することに対してモチベーションを持つことで、元々、モチベーションがある人には、邪魔をせず、より高められるようにフォローする。その時に、モチベーションがない人をどうするかは前述のように、モチベーション向上策を実施するか、行動するように組織が支援するかになります。
 「必要なスキル」とは、行動するために使わなければならない技術や技能であり、どういう行動をするかによって変わってきます。例えば、組織で現場改善をするのであれば、改善技術とプロジェクトマネジメントの二つが必要となります。また、メンバーの立ち位置により必要なスキルの比重も変わります。
 「自立性を損なわない組織支援」とは、広い領域を対象とすることとなります。意欲を高めるための制度の見直しや、必要なスキルを習得できるように、OJTやOff-JTを実施したりするなど、会社として適切な体制をとることが必要となります。例えば、現場改善に関する行動をとってもらいたいのであれば、現場改善は業務であり、評価・報酬と結びつけるといったことが必要となります。また、行動してもらう人を支援する体制(改善プロジェクトの場合、他人事ではなく自分事と考える事務局・スタッフ部門・経営層)を構築し、行動する時間を会社としてつくったり、改善技術やプロジェクトマネジメントのスキル習得を支援したり、外部から専門家を招聘したりすることが必要となります。実際に、改善を支援する役割を持つ人材を配置している企業では改善が継続していたり、それがなかった企業では改善を支援する部門をつくったこともあります。
 一方で、「良い結果」を生むためには、「適切な行動」が必要となります。この「適切な行動」ですが、分かっているようで分かっていないのが現状ではないでしょうか。まして、「適切な行動」が分からないと、「必要なスキル」も「組織支援」も設定できません。
 筆者は、「適切な行動」を決めるため、目指すべき業務プロセスやPDCAサイクルを設定します。例えば、現場の作業員が効率的な作業ができるように、前日に効率的な計画を立て、作業を実施し、その実績を評価し、次の計画に反映できるようにするというサイクルを設定し、それを実行したこともあります。ただ、これまでやっていなかった行動が最初からできるわけもないので、一緒にやりながらできるようになるまで支援をし、継続した支援が必要であれば、支援をする部門等をつくり企業内で完結できるようにしています。
 ここで重要なことは、それをやると決めたからには、それを実施しているか、実施していないのであれば何故できない、しないのかを追究し、目指す業務プロセスやPDCAサイクルを実行し、成果をあげられるように組織としてしつこく追いかけることです。
 また、行動して欲しい人の状況にあわせて、場合によっては、できるようになるまでお箸の上げ下げまで手取り足取り支援をしていくようなことも必要となります。

5.組織が良い循環をするために
 図6「良い結果を生む状態」を発展させ、下記のような良い循環にするには、フィードバックが欠かせません。「行動」した「結果」どうなったかの因果関係を分析し、より良くするために、「適切な行動」「必要なスキル」「組織支援」「意欲」について見直していかなければなりません。
 ここでまた、問題が発生します。失敗の方がより多くのことを学ぶことができます(成功は運に恵まれたことも多く、それを差し引いて評価することは困難です)。しかしながら、減点評価や失敗することは悪いことだとなっているところが多く、すぐに手詰まりになってしまいます。失敗を推奨するようでなければ、誰もリスクは取りたくないので、行動しなくなります。これは経営者や上司の問題ですので、これも含めて組織支援が必要となります。

おわりに
 全3回にわたり「競争力を向上させる組織とマネジメントの在り方」について、お話させて頂きました。
 まず、考慮すべきは、「結果」に直接結びつくのは「行動」です。
 「モチベーション」がなければ何もできないということに捉らわれることなく、「行動」することで「モチベーション」も上げられると考えてください。また、これは個人の問題ではなく、組織の問題であるとしたうえで、「組織的に支援」することが重要です。
 そして、「行動」も競争力をあげるために自社にあった「適切な行動」を設定する必要があります。
 図7「組織の良い循環」にたどり着くのに近道はありませんが、必ず成功する方法はあります。それは、成功するまで続けることです。
 組織力をあげたい、組織を再構築し、事業を改善したい方は、ぜひ挑戦してみてください。

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